小幌駅へ。文太郎さんに惚れて

先月5日、子供の日。秘境駅と名高い室蘭本線小幌駅に行ってきました。
以前から行ってみたいなと思っていましたが渡辺一史さんの「北の無人駅」を読んでからはそれよりも増して行かなきゃという思いでした。
本を読んでからもずいぶん月日が経ってしまいましたが、やっと小幌駅行きが実現して嬉しい(^^♪

「小幌駅」と検索してみればたくさんの情報がヒットするでしょう。
ここは無人駅。駅舎もありません。もちろん周辺には民家はないし、トンネルとトンネルの間に対面式のホームのみ。
かつては信号場として存在した施設です。信号場、単線だった室蘭本線の上り下り列車がすれ違うための
交換設備があった場所なのだそうです。
その後、複線化されるも「駅」に昇格したたのは、保線作業に必要な場所であるから。ここ小幌駅の周辺は車では線路に
近づくとこが出来ない断崖絶壁が続いています。実は3月に特急で函館に向かった時、この小幌駅を確認しようとデッキで粘ったのでした。
でも無理。トンネル抜けた!と思ったらまたトンネル。抜けた! でもまたトンネル...とにかくトンネルがたくさん。
一瞬でトンネルの暗闇に列車が吸い込まれていくのです。この線路を敷くのはどんなに大変だった事でしょう。
そしてこの鉄路を守る為に小幌駅はその存在を残しているのでしょうか。


これが私たちが乗って来た列車。
始発の地下鉄に乗って札幌を出たのに、小幌に着いたのは午前11時35分です。
当初は車で向かおうと思ってました。実は車でも行けるのです。ええ、駅前駐車場からは林道15分沢沿い15分山道15分で駅に辿りつけます。
でもここは鉄路でしょう!寝こけて行くのがイチバン。現地集合で同行してくれた友人はすでにホームでスタンバイしてました。
私たちを降ろして発車した鈍行列車はゆっくりとトンネルに吸い込まれていきます。幌内トンネル、その先は美利加浜トンネルと続きます。
右は新辺加牛トンネル。
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反対側の室蘭方面。3つのトンネル真ん中のトンネルは塞がれていました。それこそがかつて信号場時代に使われていたトンネルのようです。
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向かいのホームの駅名標の横には駅ノートが入った密閉容器。ごさつ目って書いてありましたよー
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煤だらけ。ご丁寧に小幌の文字の部分だけ拭い去ってくれてます。
同じ人だか、日付まで。数日のうちにこれも消えてしまうから落書きではないかな(^^)
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特急がビュンビュン通り過ぎますからね、そしてここは電化もされていないから黒煙を残していくのですね。
ミラーもほら。
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こんな光景も。この後カートは保線マン3人を乗せて深礼文華山トンネルに消えて行きました。
すると我々3人だけの駅。
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そして海に降りるべく駅前通りになる山道を下ります。下草がきれいに刈られていてとても歩きやすい。
途中出逢った男性がずっと刈って下さっていたのです。
駅から少し進むと分かれ道があり左に進みます。しばらくすると入江が見えてきました。
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降りてみれば、こんなに静かに穏やかな入江。桟橋があってそこには若人数名。
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どうやらキャンプしたようですねー。ゴミではないのだろうけど、散らかし過ぎっ!
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江戸時代、あの円空さんがこの小幌洞窟に何日もこもり何体もの仏像を彫ったそうです。そのうちの一体が岩屋観音。
現在は伊達の善光寺さんに安置されているそう。
どの辺辿ってここにたどり着いたのでしょうね、円空さん…。
そしてこの入り江にはかつて何軒かの漁師さんの家があったそうです。ここの南側にある入り江にも。
その漁師さんのうちの1人「ブンタロウ」さんの存在が私をこの駅に向かわせたきっかけです。もちろん故人です。
ブンタロウさんが今の時代の人ならば必ず惚れてしまいます、私。
掛川源一郎さんが彼の写真を撮っています。「北の無人駅」にも載せてありましたが、写真集genの解説に彼の事について書かれています。
ブンタロウさんについての記述で私の印象に残っているのは…

頑健な体躯と天性の漁師。
最年少の船頭頭になったあと太平洋戦争に。海軍軍人の夫に先立たれ5人の子を抱えながら健気に働いていたチセさんと愛を育み、
除隊後に結婚。5人の子供を引き取りました。
ある日酒好きだったブンタロウさんは酔いつぶれてトンネル内で寝込んでしまいます。列車に左足を轢断されてしまいました。
でも気丈なブンタロウさんは大量出血のままトンネルから這い出て命を取りとめるのです。しかし、しかし!左足の膝から下を失った3年後、
今度は松葉杖で歩行中に踏切で列車と接触、なんと今度は右足を失ってしまいました…。雨に視界を奪われてしまったそうです。
それでもブンタロウさんはチセさんと結婚後に生まれた2人の子供と自分の母親を含め10人家族の暮らしを守るべく
他の漁師に負けないほどの漁をしたというのです。しかも漁師のかたわら釣り人相手の民宿まで営んだそう。
惚れ惚れします、この生命力に。
自らも働き、子供たちも働かせて(生きる術を教えたのだと思う)、とにかく建設的に生きた男だと思う。両足を失った後も酒は止めずに
洞爺湖温泉、室蘭に出かけて行ったと!



分かれ道を右に行くとその先にはまた入り江。急こう配ですが道がつけられています。またこの手前には小幌仙人と呼ばれていた方の住居の残骸らしきものが見られました。
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小幌駅は秘境ではありませんでした。建物は残ってなくても、目を閉じればその営みが浮かんできます。
今は鉄道ファンがめざし、若人は軽く羽目をはずす、穏やかな入江へのエントリー駅。また来年も行きたいな、この季節に。
岩屋観音は別名「首なし観音」旅の僧がヒグマに追われて洞窟に逃げ込みとっさに岩屋観音の後ろに隠れたという。
獲物を見失ったヒグマは観音像の首を食いちぎって去って行ったとさ・・・。今はヒグマの気配は感じられないけれど、いるかいないか分かりません。




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by hokulele2 | 2015-06-08 00:00 | 鉄子への道 | Trackback | Comments(6)
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Commented by surigon at 2015-06-08 15:02
憧れの小幌駅!
こんな大きい写真で見れて嬉しい~。
入り江まで降りたのですね~。さすが!
桟橋が案外しっかりしていて、ビックリです。
まだ使っているのでしょうかね。
Commented by ベチ at 2015-06-08 17:34 x
カートに乗りたい!、どこまでも疾走りたい♪。
よーくその土地の歴史を調べてホウホウ、ナルホド、行ってみたい、行ってみなきゃと行動に移すめぐんこさん、あっぱれ!。
ここで三時間以上も一人で?とびっくらこいてたんだけど友人と一緒だったと・・・安心。
通過する車窓にオデコひっつけてホームを眺めるんだけどアッという間で・・・降り立った人だけが見られる景色とミラーの煤なんだね。
行き当たりばったりで計画する事が苦手だけど散歩キップで道北へ行ぐだ。車窓からあの待合を眺めたい。待ってろよ、北星駅♪。

呑兵衛に惚れちゃぁーいけねーよ(爆)。
Commented by lenslife at 2015-06-08 20:28
小幌も見てみたかった~!
よくあんな洞窟鳥居前でキャンプできたもんだねー怖いわ。
しかも水に入らないと桟橋に上がれないんですか~?
なんとも時代が作り出した不思議な風景がいっぱい!!
そこが魅力なのかも。面白いわ~。
ブンタロウさんの話もhokulele2ちゃんに聞いてたから実感できたよ。
Commented by hokulele2 at 2015-06-13 12:45
> surigonちゃん
駅から入江までは15分くらいで降りられるんだよ(^^)
桟橋は古いものではないようで、岩屋観音のおまつりの時に使われるとか。
若人たちはどうやって行ったのかなー
Commented by hokulele2 at 2015-06-13 13:38
> ベチさん
いえいえ、きちんと調べ上げられた本を読んだだけなんです^^;
文太郎さんの生命力に惚れました!試練をものともしない強いオトコが好きです。
ここへは女子2人で、現地集合で男子1名が合流しました。
いい入江です。浜でまったりお昼ご飯なんかしたらいい場所ですよー
でもこの日は行の列車でお昼ごはん分も食べつくしちゃって(T_T)
道北散歩きっぷ、気になります♪ 私も計画してみようかなー
Commented by hokulele2 at 2015-06-13 13:50
> ゆんぐちゃん
もー散らかしほうだいで、参ったわ。ゴミは残して行かないで帰ったかしら。
桟橋までどうやって行ったのだろうか、ゴムボートとか?水は冷たかろうに。
文太郎さん、伝説の人だね。よく小幌仙人ってここに住み着いた人の話は聞くけれど
ワタシ的には文太郎さんの人生のほうがとても気になります!
覚えていてくれたのね、ありがとう(^^♪
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